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           メール・マガジン

      「FNサービス 問題解決おたすけマン」

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    ★第053号       ’00−07−21★

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     ノウ・リターン

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●マリリン・モンロー

 

(とロバート・ミッチャム、と言わなければ公平でないでしょうが)主演の映画、

" The River of No Return " に似たのを先夜、TVでやっていましたな。 

 

主演女優はメリル・ストリーブ。 か細い知性派、と感じたのは昔。 今や年を

経て、と言うより役に合わせてでしょうか、アウトドア的たくましさ。 ゴム・

ボートの櫂を操り、二人の強盗犯におびやかされつつ急流下りに挑む、、、

 

どうせ娯楽映画、何とか乗り切るに違いないのだが、スリルとサスペンス、結局

しまいまで付き合った。 開拓時代を背景にしたモンローのより装備が近代的に

なっているのは当然、だがその分、川自体の難度?設定も高められており、下手

すりゃ No Return、の設定は変わりなし。 困難に挑むのだから、「帰らざる」

くらいは覚悟の前。 悲壮な感じです。 しかしちょっと待ってくれよ。 水は

高きより低きへ流れてアタリマエ、 River はもともと No Return だぜ。

 

ついでに言えば、人間の一生も No Return の One-way。 オギャー!の瞬間から

すでに「帰らざる」もの。 ことさら悲壮に感じる必要は無いはず、ですが、、、

それでも、時に感じさせられてしまうのが現実。 たとえば、

 

 

NHKTVで放映された<にんげんドキュメント>「50歳、管理職の再出発」。

一所懸命なだけに悲壮、、  いや、状況的には「悲」より「非」かも知れない。

 

それは松下精工(愛知県春日井市)で実施された<キャリアF/A制度>の紹介。

<50〜56歳の管理職に、豊富な経験を生かして新規事業を立ち上げさせる>

という、聞けば積極的、当世風の響きをもった制度。 しかし、「併せて若手に

能力発揮の機会を与える」とも。  こっちが本命かな?  テキは本能寺! 

 

対象者数98、映し出された表情はどれも硬かったし、先が決まった人も頬に涙。

イケイケの雰囲気ではありませんでした。 それもそのはず、手に渡されるのは

片道切符。  否応なく現職から退かせ、「決して復帰は無い」No Return ! と

(ご丁寧にも※印付きで)会社が<保証>して下さっているのだから。

 

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●会社一筋に

 

生きよ、と教えられ、励まされ、あるいは強いられても来た人たちからすれば、

「非」どいよ、約束が違うぜ! でしょうな。  だいたい、

 

新規分野を見つけ、事業を企画し、市場を開拓する、なんてことが<出来る>

や<したい>人たちだったら、初めからサラリーマンにはならなかったんじゃ?

 

もちろんサラリーマンではあっても、企画や市場開発を本業にしていた人なら、

その制度に苦痛も困難もあるまいが、画面に出たのは主に製造に携わって来た

人々。  そう言われても、、 の困惑感がアリアリしていました。

 

授かった仕事を忠実に全うし、その対価としてサラリーを受け取る、、 その

タイプもいなければ、企業活動は維持できない。 その実績で管理職に就いた

人々に<新規事業を立ち上げさせる>???、、 たしかに実験的、ですなあ。

 

 

「4年連続の売り上げ低下、ついに昨年は<20年前>水準。 建設業界低迷

などで値引き要請が厳しく、利益が出せない、、」。 その間トップを務めた

人たちが無能だった、ということじゃないのかな?  誰が選んだんだ?

 

そこを伏せて、キミたち、何か儲かることを捜せ、は「非」どい。 「捜す」

にも才覚や運が必要。 <したい>と思えば<出来る>というものではない。

そう思っていなかった人々に、しかも No Return で捜せと強いても、ねえ?

 

*   *

 

提唱者は中野社長。 「この分野に進もう!」とリードするのがトップの役目、

と私は思っていたが、この会社では違うらしい。  聞けばそれも当然、

 

松下グループから送り込まれた<再建屋>の異名ある人、だそうで。 彼出現

の時点で<潜在的問題分析>を試みるべきでしたな、皆さん。 およそ犠牲を

伴わない<再建>なんて、ありゃしないんですからね。 

 

しかし「再建に必要なのは利益の上がる新規事業の立ち上げ」、そのためには

<F/A制度>、と発表されたのが着任後1年以上を経た昨年10月。 何か

ズレてますね。 今まで通りじゃダメ、は着任前すでにお分かりだったはず。  

だいたい新規事業の開発は、業績好調時の作業でしょうが? 全く手詰まりに

なってからとは、さながら<特攻>の思想、、  悲壮たらざるを得ませんな。

 

*   *   *

 

下衆の勘ぐりで言えば中野氏、具体的な再建案を携えてではなく、手ブラで

来られたのでしょう。 乱暴な話。 たしかにおっしゃることも、たとえば、

 

★「お客さんしか給料をくれる人はいない、ということが分かっていない。」

 法的にも契約上も、普通「給料は会社が支払うもの」でしょう。 「会社は

 払わない。お客さんからもらえ」と言ったら、<普通の人たち>は入社しな

 かったのではないか? それとも採用後、松下流の教育を施したのに、かな?

 なら、教える側に問題あり。 子は親の鏡、生徒の不成績は教師のせい。

 

★「仕事さえしていれば、、 ではダメ。」

 おいおい。 むしろ今まで、余計なことにアタマ使うな、これやれ!だった

 かも知れないのに、、、 

 

 で、思い出した。 サーモスタット屋としてご愛顧を賜わった松下グループ

 某社でのこと。 当初、我が社が「松下さん専一でない」ことにご機嫌斜め。

 当方の「手広くサービス」は、どちらとも心中せずに済ませるための方針で

 あったから隠さなかったし、それをご存知で取り引きを始められたのに、、、

 

 やがて石油ショックから不景気到来、松下さんも発注量低下、、すると一転、

 「松下依存度が高い業者はダメ!」。 我が社、お褒めにあずかりましたが、

 その時々の都合で勝手なリクツを付けやがる、、 が率直な印象、でした。

 

★「自分のため、後輩のため、会社のため、、、率先して果敢に挑戦せよ。」

 まず隗より。 まずあなた、手本をお見せ下さいな。 <儲かる新規事業>

 はこれだ!と。  あなたほどの人がお出来でなければ、ほかの誰が、、?

 

★「上が長く居すぎるのがまずい。 何でも分かる、全部自分でやるという

 年輩スペシャリストが多すぎる。 年功序列が挑戦意欲を奪っている。」

 測るモノサシにもよるし、仕事によってはそうするタイプの人材が必要でも

 ある。 約2000人というこの会社で、社長以下役員>統括部長>部長>

 課長>係長、、という壮大な階層構造。 それが「若手の頭に重しとなって、

 成長の芽を摘んでいる」のなら、必要なのは新規事業でなく、まず組織改革、、

 ではあるまいか。 会社側の工夫不足を棚に上げて、何をおっしゃいます? 

 

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●実施は2000年4月。

 

発表から僅か半年間の猶予。 寝耳に水でウロタエ、不安に喘ぎ、しかも

通常業務は遂行しつつ、以下の点をただちに申告しなくてはならない。

 ・何に挑戦したいか、 ・なぜそれを選んだか、 ・どう改革するか、

 ・いつまでにやり遂げられるか、 ・予測効果は、、、

 

「心づもりが無かった。 時間がかかる」という声あり。

 そりゃかかります。 言うだけならヤサシイが、やらされるのだから。

 

必要ではあろうけれど、とはしながらも「手放す寂しさ」を言う人あり。 

 そのストレスとも戦わなくてはならない。 相対的戦力低下は必至。

 

結局(禁じられているはずの)<現職>か、その関連でしか思い付かない

という人が多くなってしまった。  とんだ仕事の障り、でしたな。

 

もちろん「チャンス!」と捉えた人もいたし、彼のプランは基本的にOK

された。 が、その新事業だけでは利益が出せまいという<ご配慮>で、

首都圏から東北海道までカバーし、他に新商品をも売ること、とされた。

人使い荒いねえ!  言うは易し、ご自分はお出来になるのかね? 

 

 

組織改革については、番組は何もレポートしなかった。 組織はそのまま、

のようです。 つまり、、、「体の良い切り捨て」?  「、という声も

ある」と中野社長。  なーんだ、ちゃんと分かっていらっしゃる、、

 

「リストラや切り捨てではなく」、しかし出た先で野垂れ死ぬことは妨げ

ない。 この「終身雇用を維持しながら年功序列の弊害を排除する実験」

は4月3日スタート。  まず2年間、それで一仕事出来るはず、と。

 

そう、「2年、一仕事」が中野氏の信条。 「実験」の開始が氏の着任後

2年目丁度なのは、そのせいか? だが、結果を出してこその<一仕事>

だろうに。 開始させるだけ、でも<一仕事>なのかね、松下基準では?

 

2年で<新規事業>を軌道に乗せる、と自信を語った人はいなかったが、

今回<現職>に留まることになった人々に与えられた期間も同じく2年。

 

<定年まで>の道はすでに閉ざされた、という暗示的なナレーションで

締めくくられた拙劣経営の果てと言うべき物語。 この知名度の会社に

して、マネジメントもリーダーシップも見当たらないのが不思議でした。

 

*   *

 

標高差の割に分水嶺から海岸線までの距離が短い我が国の河川は、大陸的

常識からすれば滝のようなもの、だと申します。 しかし<川>を歌えば

「おだやかーにー、、 ゆるやかーにー、、」としてしまう日本人、、、

 

それは<潜在的願望のなせる業>かも。 現実人生の<川>は、急流やら

滝やら、危険がいっぱい。 それを知ればこそ、歌う時くらいは、、かも。

 

<大舟>も近ごろは簡単に底が裂けます。 まずキミ降りろ、<小舟>を

作って外から<大舟>を支えろ。 そりゃないぜ、と言いたいが、ここに

あったぜ。 いずれあなたにも? 「帰らざる」の覚悟、出来てますか?

一つ、具体的に伺いましょう。  救命ジャケット、着用していますか?

 

スポーツとしての川下りでは必須アイテムなのに、世の荒波と戦う人々は

意外に楽天的、まず着ていません。 あなたにお奨めするのは、着込んで

重くなく、防弾チョッキにもなり、ポケット四つのスマートな、、、 

 

そう、おなじみ Rational Process 。 これを着けてりゃ、沈まないし、

助けも呼びやすくなる。 力を合わせれば、生き延びる確率も高くなる。

 

*   *   *

 

その道何十年のベテランも、たいてい<そこでは>の通用範囲限定付き。

知識・経験の質が、いわば<方言>的なのです。 <共通語>に載せて

それを提供すれば、他の世界の人々にも分かりやすい。  相手の話を

聴き取るにも便利だし、間違いも少なくて済みます。

 

Rational Process が、その<共通語>。 あの「年功序列排除実験」

の前に Rational Process を授けていたら、彼らも自信を増し、遙かに

積極的な雰囲気で取り組むことが出来たのではあるまいか。

 

知識や経験は年々着々、しかし、その生かし方を体系的に学ぶ機会は

滅多に無い。  企業戦士ゆえ「咲いた花なーら、散ーるのは覚悟」、

だろうけれど、その手に武器一つ余分に持たせて出すのが武士の情、、、

 

松下精工さんにそれは無かったようです。 多分ほかでも同様でしょう。

即ちこの救命ジャケット、自前で着るしかあるまい、、ということ。

 

「一度は着たが、その後しまい込んだまま、、」の人はすぐ取り出して、

点検・着用!   もちろん「おたすけマン」は常に控えておりますよ。

                          ■竹島元一■

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